-冷たい口づけ-
冷たい口づけ
 八重の細い頤に四叡の手がかけられる。ぐっと捕まれるようにして上を向かされた。
何を、と思う間もなかった。気付いた時には八重は強引に唇を重ねられていた。
八重の瞳が大きく見開かれる。

八重
「んっ……!?」

 四叡の唇には温もりと言うものが全くなかった。
冷たく柔らかいものが無理やり押し付けられている……そんな、ただただ不快な感じ。
異性と親密に付き合ったことのない八重だったが、こっそり思い描いていたものとはまるで違った。
なので、八重は始めその行為が一体何を意味するのか、全く理解できずにいた。
瞳を真ん丸に見開いたまま、数秒した後ようやく気付く。

八重
(え……これって……キ、ス?)


(本文より一部抜粋)

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