-栄華のために-
栄華のために
 四叡
「……それで、すべては緋玄の繁栄に通じるわけですか」

 今よりもやや、幼い顔立ちの四叡が呟く。
息子の言葉に、四鴎は満足そうに頷いた。思念体だけとなっているクロウは息を飲む。
四叡と呼ばれた少年の、瞳の奥に揺れる闇を見てしまったから。

 四鴎
「そのとおりだ。緋玄家の輝かしい名誉と繁栄、それがもたらされるのだ。
頭首たるもの、何よりもそれを優先せねばなるまい」

 四叡は、なぜか軽く笑った。

(本文より一部抜粋)

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